だ・か・らっ、Dia“l”yだってばさ!

これは『戯れ言』です。また、“Diary”ではなく“Dialy”です。つまり、日記に似て非なるものです。 所謂『日記』ではありません。お間違えの無いようお願いします。(^^;A

コーティングには触っちゃイケナイんだよ、と言う理由。

Fresnel equationsを使って、ちょちょいと計算してみました。
透明体を仮定してますので、消衰係数は零としました。面倒ですから。CMPLXを使うのが面倒だった訳じゃないんですが、結果にさしたる差はないので。
屈折率(誘電率)は振動数(波長)の関数なのですが、一定値と仮定。あまり厳密性を求めてはいませんので。


まずは2相界面。空気と水の界面を仮定。ガラスでもなんでもいいんですが、概形は変わりませんので、水らしき値を第2層に代入。コーティングされていないLensと空気の界面でもたいして変わりはありません。

偏光については説明しなくても良いですよね。それこそ面倒だ w
で、平行偏光(p-pol.)の場合はBrewster's angleで反射率が零になりますが、それ以外は有限の値を持ちます。言わずもがなですが、両偏光とも入射角に依存して変化しています。


次は3相系です。ここからは垂直入射としています。空気/コーティング/Lensだと思って下さい。
まずは第2相の厚さを変えてみます。波長と膜厚の単位はなんでもいいんです。これら相互の比率でしか効きませんから。ま、可視光なのでnmだと思っていただければ。

代入した値は図中に示してあります。膜厚によって反射率が変化しているのがお判りいただけるでしょう。


次は波長を変えてみました。

上述したように、Lensもコーティングもその屈折率は波長に依存して変化しますので、結果は変わりますが概ねこんなもんです。


次は第2相の屈折率を変えてみました。

波長一定、入射角一定の条件ですが、最適な屈折率があるとお判りいただけるでしょう。


Camera Lensの場合、概ね400 nmから700 nm程度のそれなりに広い可視光領域全体が対象となります。また、Lensに対する入射角も垂直入射だけではなく様々な角度から入射します。
なので、単層コーティングでは自ずと限界があることが示されています。
だからこそ、“マルチコート”なんてものが開発されて現存しているわけです。


で、コーティングの材質なんて機械的強度はたかが知れてます。ダイヤモンド薄膜だとしても、繰り返し擦られれば削れます。つまり、膜厚が減ります。厚さが減れば苦労してこさえたマルチコートが最適値からずれることになります。そして、どんなに柔らかなもので、どんなに優しく触っても、なにがしかは削れます、膜厚が減ります。Lens表面、つまりコーティングに触って良いことは何一つありません。ましてや、一層辺りの膜厚が薄く、モノコートよりデリケートなマルチコートを擦るなんて以ての外です。
仮に点で汚れたとしましょう。汚れが付着した場所にも依存しますが、点が小さければLens全体に対する面積比は小さく、与える影響も大きくありません。これを拭き取ろうと優しく撫でるのは実は恐ろしいことです。表面に汚染を塗り広げることになるかも知れない。要するに、別な被膜を付加したことになります。綿密に計算され、手間暇かけて作成されたマルチコートの表面に、想定されていない膜が付加されるなんて良いことはありません。下手に塗り広げるのなら、点のままの方が遙かにマシです。拭き取るなら徹底的にやらなければ意味が無いどころかさらに状況を悪化させるだけです。そして、徹底的に拭けばコーティングに対する悪影響も相対的に増大します。
Lensを消耗品と捉え、自らが「性能劣化」を感じたら買い換える、というスタンスならば結構です。実際に消耗品ですし。
私は吝嗇なので、そんなのは嫌です。保護フィルターによってある程度性能が落ちるとしても、拭くことによってジワジワと真綿で頸を絞めるように性能を劣化させるようなことをするよりはマシだと考えています。(そのフィルターも同じ理由から滅多に拭きませんので、某Mr. Dandyには呆れられるわけですが www)


Lensコーティングを自動車の塗装と同じように考えてはイケマセン。塗装なら多少減ったとしても輝きが失われるまでは同じ性能だと言えるかも知れません。が、コーティングは違うのです。膜厚そのものが命なのです。無知故とはいえ、その命を危険に晒す様な大胆な行動は見るのも御免ですね。


ま、「なんとかコーティング」とか銘打っておりますが、そこにLensがあることが見えている時点で有限の反射率を持っているわけで、透過率100%ではないのですね。なので、細かいことは気にしないってのも正解の一つです。結果、つまり撮れた写真に満足なら、それでよしと。要するに、自己満足 www